打ちのめされた雨の日に

2004/01/31

「あ…おい!待ちたまえ、鋼の!」
庁舎から出て行くのを慌てて呼び止めれば「何」ときょとんとした顔で振り返る。
そのままそこで動かない彼に、ロイは「戻りたまえ!」と手招きする。
首を傾げつつ、泥をはねさせながら戻る彼―…手の届くところまできたところで、その肩を引っつかみ、引っ張り込む。
「うわわっ」
たたらを踏んだ少年を引き寄せ、抱きとめ。


ぱさりと白いタオルをかぶせた。
「一体何を考えているんだ、君は」
それでもまだ首を傾げるエドワード。
ただただ疑問を返す金の瞳に見上げられて、ロイは天を仰いだ。
美しい金髪を顔に張りつかせ、首筋へは幾筋も水の跡。
重く水を吸った赤いマントはぽたぽたと石畳に水溜りを作っている。
「君は傘も持たんのかね…」
ロイは盛大にため息をついた。


「傘?うーんあんまり使わないなあ…」
「風邪をひくとか考えないのかね、君は!」
「むしろ錆びる、じゃないの」
「…ちょっと待っていたまえ。私も今から帰るから、送っていこう」
少し考えて、こくんとうなずいた彼はおとなしく窓枠に腰掛けた。


あわただしく机の上を片付け、コートと傘を引っつかむ。
何故、こんなにも――。
浮かんでくる笑みを抑えられない。



この話とはシチュエーションが違うんだけど、一応雨の絵。





SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送