異世界パラレル01

謎パラレルの設定と駄文を書き殴り…
しかもどこかでみたことのあるような(笑)

2005/01/09



==ロイ:叛乱軍のリーダー==
白い肌に黒目黒髪の貴種。
皇族の血統を如実に示すその色。
だが、だからこそ。
「私は王にはなれない」

元は滅ぼされた祇(ヨウシ)の民の皇子。


ここしばらくないほどの圧勝に酔いしれる兵士たちは火の周りで酒を酌み交わすだけでは飽き足りず、宴は半ば狂乱の態を示してきていた。
こんなんで酔えるかよ。
少年は火から少し離れた倒木に腰を下ろし、それでも椀に口をつけた。彼らと違いアルコール分ゼロの清水は冷たく戦いの火照りを冷ます。
「ねえ。あの人は何で叛乱軍なんて始めたの」
隣の女性はえ、と聞き返した。
「だって、あの人元は正規軍にいたんだろ。んでそれなりに大佐とかになってたんだろ」
チューイだって今だにあの人のことタイサって呼んでるじゃん。
「それなのに、何でいきなり叛乱軍なんか始めたのかなーってさ」
「ええと、それは…」
彼女の珍しく歯切れの悪い言葉に「いや、別にいいんだけど」と言いかけたところで、別の声に割って入られた。
「何故私に直接聞かないんだ?」
「大佐」
救われたという顔の鷹祺隊(オウキ)の女隊長に少年は肩をすくめる。

「ロイ」
彼は向こうで今後の方針について一説ぶち上げていたはずだったが、いつの間にこっちへこれたのだろう。彼はとても人気者だから、いつもすぐに皆にとっつかまって自分を構ってくれる時間など本当に少しでしかないのに。
「こんなところに引きこもって。皆と飲めばいいのに」
だって俺、水だもんと椀を見せるとぷっと笑われた。そうか、未成年だったな、と男はおかしそうに言う。
「何故、叛乱軍を始めたのかと言ったな」
この中に知らない者はいないだろうが、それでも噂で君の耳に入るくらいなら話しておいた方がいいか?
あまり、面白い話ではないが。

私は祇の第二皇子だった。
兄がいたよ。私と同じ闇の色を受け継いだ兄が。
だが、赫血(カクケツ)の王の元へ呼び出され殺された。あっさりとね。
突然これからはお前が日嗣の皇子だと言われて、その日から帝王学を学ばされた。その時は兄が死んだということもよくわかっていなかった。何しろ5歳だった。
日嗣の皇子を殺されても祇は赫血の王に恭順を誓い、そうまでしても2年の平和しか購えなかった。皆何かに怯えるような日々だった。
先生だけは怯えてはいなかった。私に全てを教えてくれた人だが、専門は歴史だった。私ももとから歴史が一番好きだったから、先生と話すのは楽しかった。
先生みたいな歴史学者になりたいと言ったら、昔はそうですね、と言ってくれた。
兄が死に、国継の皇子となったら誰もそんな言葉に頷いてはくれなかった。先生も、歴史学者になるような人はいくらでもいるが、王になる人は一人しかいないと寂しげな目で言った。
立派な王におなりください。わが国を守る王に。民を守れる王に。お父上のように立派な王に。
そう言われたのは短い期間だった。ほんの2年。
父は国を守れなかった。
国は焼け、皆殺され。男も女も殺され。老人も子供も殺され。父も母も先生も。
残されたのは、たった4人の子供。
男と女を二人ずつ。
貴種の祇族の命を絶やさぬために、ただそれだけのために残された。
自死を選ばなかったのは、友が生きろと言ってくれたから。ただそれだけ。
「今死んでも何にもならんぞ。生きろ、ロイ」
自分より一つ年上なだけなのに、自分を守ろうとでも思ったのか、そいつは言った。
そして私は彼らを人質にとられ、私の一族を殺した男の手先となり国を焼いてまわった。
だが、皆死んだ。
私の知らぬところで彼らは死んだ。友もその妻も私の妻となるはずだった少女も。
だから私は叛乱軍を起こした。

「復讐、か?」
「いや」
私は解き放たれただけだ。
男はそう言った。
だが、彼が解き放たれているようには見えなかった。
むしろまた鎖にがんじがらめになっているように。
ああ、そうだ。とエドは言った。
「俺が叛乱軍に来たわけがわかった気がする」
「私がいるからだろう」
当然のように答えた男に、エドは顔をしかめた。
「あんたを解き放ってやりたいと思ったんだ」

よく言う。
一瞬無防備な顔を見せ、それを恥じるかのようにロイは顔を伏せた。
私を捕らえておいて。


==欠落の王:エドワード==
えー王様がたくさんいるように思えるかもしれませんが、この世界を現在牛耳ってる王様は、赫血の王ただ一人です(もちろんこれが大総統)。この王様がいろんな豪族(ロイの祇族とか)を従えておりました。
しかし、ロイ率いる叛乱軍が只今勢力を拡大しつつ王都に迫っております。

そして、もう一人。古き伝説に語られる救世主、これが欠落の王エドなのです。
いずれ現れると予言された、金髪金瞳を持つ獅子の絵で示される王。「七の闇日を超えて時の鐘を鳴らす者」「欠失を抱えし導き手」「闇の洗礼を受けて闇を追う者」などのいろいろな呼び名がある。
要するに叛乱軍の待ち望んだ救世主。

ロイは叛乱軍をおこして3年後、いまだ五体満足のエドと出会っている。
それから2年。
ロイの前に再び現れたエドは、右手と左足を失い機械鎧となっていた。
真理の扉を開いたエドは五元素と第六物質を自在に操る錬金術師(マテリア・マスター)となっており、それも救世主の証とされた。それと欠落、闇の洗礼がそろったことで、エドは叛乱軍の掲げる救世主として祀り上げられてしまう。エド自身はロイの側にいるためにそれを望んだが、ロイは頭を抱えた。


「そのすぐ前線に飛び出すのをどうにかしてくれないか」
「ロイだって前線で戦ってるじゃないか。それに俺が戦うと兵士の士気が違う」
生意気に軍略まで語るかと思うと「って、ファルマンが」と無邪気につけ加える。
確かに自分は一番前に立って戦っている。だがそれは叛乱軍を率いる者として、兵士たちの命に責任があり、そう言い募るロイの言葉をエドは手で遮る。
「なんか勘違いしてないか」
――これはもう俺の軍だ。
無邪気さのかけらもない欠落の王は、傲然と金の瞳を閃かせた。


この世界、錬金術師はおりません。ロイは祇族の特性として炎蜥蜴と契約を結び、炎を使うことができるのです。
五元素のそれぞれと関係の深い五部族というのが存在し、そのうちの炎が祇族。だからこそ、赫血の王も祇の血を絶やすまいとした。だが、一族の中でのみ血を重ねてきた祇は一族外の者とは子を為す事ができない。ヤれるけどデキない(直接的表現)。そのため、もはやロイしかいない祇は絶える運命にある。
水と土の部族は積極的に外部と交流してきたので、多くの能力者が存在する。だが、その一方で血は薄まり、特に水の本家の血筋は絶えている。


「私を見誤っては困る」
罠とも知らず炎の洞窟にまんまと誘い込まれた男は、焼けるでなく炎の中に立ち、不遜に顎を上げる。
「私は祇。炎蜥蜴は我が一族の盟約の友だ。その炎で私が害されることなどあるはずもない」
「――火攻めで良かったな」
こそりと彼の背後で呟いた少年は、足元でぴしりと尻尾を打ち鳴らされて肩をすくめる。わかってる、わかってるって。お前のご主人様だもんな。アシュケナシェーラ。


炎蜥蜴は普通、ロイが呼び出したときだけトカゲの姿で現れるんだけど、実は人型でロイの周りをしょっちゅううろついていて、しかもそれはエドにしか見えない(王の目効果>凄いな)。


ロイの姿が見当たらなくて、探していた。だが、ロイの行き先は知っている。城の執務室にいないなら、きっといつものあそこだ。ロイは戦いが一段落してこの城に帰ってきても、いつも自分の執務室に決め込んだ光のたくさん入る部屋にこもってしまって、やはり自分を構ってはくれない。
エドがそんな不満を抱いていると知れば、ロイは目を剥いただろう。毎晩毎晩つきあってやっているのは誰だと思っている!と。
だが、実際のところそう毎晩でもなく、エドはエドなりに我慢を重ねていた。
ロイは忙しすぎるのだ。民を救うためでなければ、叛乱軍はただの賊軍だというのが口癖の彼は、叛乱軍の勢力下となった土地に対する援助を惜しまない。戦闘で破壊された畑は兵士たちが率先して直しているし、さまざまなトラブルも手際よく解決していく。だが、とにかくやるべきことが多すぎて、それもロイに集中しているのがいけないのだ。
もっと叛乱軍の規模が小さかった時に構築された、一極集中システムが、今でも同じように機能しているためだ。それはそれで評価すべきことだが、救世主を得て拡大し続ける巨大な組織においては結局いつかは破綻する。
傍目で見ていて、エドはそう考えていた。ロイもようやくそれに気づきだしたのか、最近こっそりと姿を隠すことが増えている。ロイがいなければ、部隊長の6人がそれなりに指示を出してそれなりにうまくいくのだ。平和ボケかすっかり怠け癖がついて、と誤解されているのは面白いと思ったが、それが自分の影響だとされていたことに憤然とした。俺はこう見えてけっこう勤勉なんだからな!

そう、だが、「欠落の王」としての仕事は何もしていない。
叛乱軍のことはロイ任せで気分は一兵卒(百人力だが)。確かに怠けていると思われても仕方がないのかもしれない。


今日は天気がいいから、きっとあそこに。
中庭を囲む回廊の石組に腰掛けて、案の定彼はそこにいた。
日に灼けない白すぎる肌に太陽の光が差し込めばなお一層透けて、うっかり彼の硝子の心が見えてしまうのではないかと心配になる。それは自分しか知らなくていいのに。
その手には、紙の束。仕事を抜けてきても、やはり気になって仕方がないらしい。今ごろリザがロイを探しているだろうと思って、エドは柱の陰から出た。
と、ロイに向かって踏み出した足が止まる。
一瞬前まではいなかったはずの女が、ロイの頭を抱くように出現していた。
漆黒の肌に立ち上がった赤い燃えるような髪。ほとんど裸に近い煽情的な衣装と重たげな金の装飾具。 女は白いロイの頬に手をすべらせると、なめらなか動きで首だけを巡らせこちらを見る。

見た。

その視線。眼光。圧力。ふいに周囲の空気がねっとりと粘性を帯びたように感じられる。物理的な圧力で自分を押しのけようとするような。
何…だ…。
負けじと全身に力を込めた。集中して目に力を入れると、額がちりちりと熱くなる。王の力を行使している時は第三の目を示す紋章がそこに現れているのだと言われたその場所が熱を増していく。
それが爆発すると感じた瞬間。

女はふいと消えた。感じていた力も圧力もない。
エドはあっけに取られ、額に触れた。熱も引いていた。
手首の宝環がしゃらりと音を立て、毒気を抜かれた顔で立つ尽くすエドに気づき、ロイが顔を上げる。
「どうした」
「いや…」
エドはロイに歩みより、女がしていたようにその白い首に手を添える。
「なんだ、一体」
あれが、そうか。
エドはどこか納得していた。あれが祇の炎蜥蜴、祇王の舞姫か。
「あんたさ…どうあっても俺だけのもんにはならないのかなァ…」
彼はこれ以上何がほしいのか、と苦笑した。
「この軍も城も、皆お前のために用意されたものだ。私の体も心も全て手に入れただろう。これ以上、何を欲しがる」
「わかってる。わかってるんだけどさァ…」
エドはロイの髪に鼻先を埋めた。
それでもあんたはみんなに好かれすぎてて、やっぱり俺だけのもんじゃないんだ。
だから、さらっていきたくなる。
こんな叛乱軍なんか捨てて、ロイだけをさらってどこか地の果て、この世の果てへ。
あんたがうんと言ってくれるなら、今すぐにでも。

だが、それは叶わない事。





ロイを第二皇子にしたわけ。

赫血の王の王都には結界が張られている。六芒星の結界。それを守るは七つの大罪をその名に持つ王直属の暗殺部隊・暴竜ウロボロス。(暗殺部隊なのに結界の守護者なの…?)


「ああ、ラストたちは負けちゃったんだ?」
城に突入したロイたちの前に立ちふさがる一人の影。
闇の中から白い肌が浮き上がる。
「そう、待っていたんだよ、欠落の王。僕が君をもっともっと欠落だらけにしてあげよう。きっとステキだ」
「あ…」
声が出ないロイ。ロイの額に浮かぶ汗にエドは「ロイ」と声をかける。
青年はロイに目をやる。
「ああ、久しぶりだね。ロイ。ずいぶんと年をとっちゃって」
最後に会った時はこーんなに小さかったのに。
「あ…兄上…!」
くすくすと笑う時を止めた青年の髪と眼は、ロイと同じ漆黒に濡れていた。


ロイが第二皇子というのはとにかくこのネタがやりたかったから。
もちろんエンヴィ〜です(笑)。




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