鉄錆ノ味

2005/04/02

戦地から久しく離れている、そうふと考えた。
鉄の味を噛めば幻の砂が目を覆う。頑強な異民族の抵抗と同じくらい軍を苦しめたのは、砂漠だった。鉄の味が砂と血と硝煙を蘇らせる。
そして焔。

「やめろよ」
右腕の上から押しのけられて、ロイは重たい体を左足へと移した。また舌を出し冷たいそれを舐めようとする彼を、エドは倦んだ顔で見下ろした。
「やめろよ」
今度は押しやろうとも逃げようともせず、ただそう言う、その口調がさっきと違い、ロイの顔を上げさせた。

「俺の整備士…幼馴染だって言ったろ」
「可愛い幼馴染だったな」
「持って行けなくなるだろうが」
「何だ、それは。彼女が好きだからか」
「違ーよ。違うけど…」
恥ずかしい。

しばし考えてのち、ロイはぽんと手を打った。
「ああ、つまりアレだろう。
中尉がなにげなく座った椅子。それを見て、ああ、そう言えばあそこで鋼のと色々エロエロなことをしたなァ…とか思い出して、中尉が知っているはずもないがなんともいえない気分になるというよーな」
「そう、それそれ…ってイヤー!そんなこと思い出さないで!
つーかそう言うこと考えてる時のあんた、顔にモロ出てるから!めっちゃエロな顔してるからー!」
あああと頭を抱えるエドに、ロイはやわらかく微笑みかけた。

「そそられたか?」
「そそられねーよ!」


…腕枕に続いてアホな感じ。
戦場を思い出してるだけだけど傍目にはただの変態なロイと、そんな男を容認してるがやっぱりどこかに羞恥を残したエド。
種やマンキンと違い、鋼のtextは「なんともいえない生ぬるい感じ」「どちらとも落ち着かない、不安定な気持ち悪さ」がテーマです。
気持ち悪さ、が私の中の鋼なんだと思う。




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