Virtual Enemy

ハボとホークアイで大佐受

2004/02/13

硝煙を深く吸い込み、低く腰溜めに構えた銃を下ろす。
耳当てを外して振り返ると、意外な顔があった。
「――撃ちに来たの」
「いや、中尉を探しに」
そう、と銃を返し出口へ向かうと大男も並んで歩き出す。

「――すっげェ早撃ちだったっスね」
見なかったふりはしてくれないらしい。ホークアイは横目でちらりとハボックを見た。射撃場を出た途端にタバコを咥えるヘビースモーカーは、飄々とした表情で前を向いていて、あいかわらず真意が読めない。
「どこで覚えたんです、あんなの」
軍ではあんなもの、教えない。
「…昔の同僚にね」
「ヘえ」
その男はイシュヴァールで死んだ。銃の腕は素晴らしかったけれど、どこか甘かったから、あの男は。
「けど中尉が早撃ちするなんて知らなかったっスよ」
「覚えておいて損はないでしょう、護衛するにも」
なぜ、隠していたのか、という含意を無視する。
「へえ」
「何か」
「いや。何でも」
隠しておきたかった、と言う必要すらないのだろう。
ホークアイはため息を一つついた。

「…私はあなたより早く撃てます」
「それはそうでしょうけど……って、あ」
ハボックは一瞬停止し、あちゃーと額を押さえた。




「――怖い事言いますね、中尉」
「例えば誰かが痴情のもつれの果てに、あの人に銃口を向けたとしても」
引き金を引く前に、私の銃が額に穴を開けているはずよ。
「…それ、俺のことっスか」
「心当たりがあるのなら」
「そんな事まで考えてんスか、中尉って。身内まで仮想敵にってのは酷すぎやしませんか」
「好んで敵を作るよな酔狂な人間に付きあっているから」
だから隠れて研鑚を積んできた。


しばしの沈黙。
かつかつと2組の足音が無人の廊下に反響する。
「――でも、それだと困るなあ」
「何が?」

「もし中尉が大佐に銃口を向けたとき、誰も止められないじゃないですか」



ふと思いついたことを、ただそのまま考えなしに口にしているかのように。
「……」
言葉に詰まった。思わず隣を見上げると、青い目がどうです、と見返していた。
そう、この男も一筋縄ではいかない男だった。何しろあの焔に見込まれた人間なのだから。彼もまた。
「ありえないわ」
何かを振り切るように足を速める。隣の男は変わらないペースでついてくる。今までは自分にあわせて歩いてくれていたのだと気がついて、さらに眉間にしわが寄った。
「ありえない、ですか」
「嫌なのよ」
ありえないと言って、今度は嫌だと言う。問うような視線にホークアイはいらいらと吐き捨てた。
「私が銃口を向けたら、微笑むでしょうね、あの人は」
あまつさえ手を広げてみせるかもしれない。
ハボックは想像して天を仰いだ。沈黙の後の長いため息は同意を示していた。



それに私はそんなに暇ではありませんから。
つけ加えたホークアイはすっかりいつものクールな軍人の顔に戻っていた。


自殺願望ありな大佐。自分の認めた人間に殺されるなら本望だ…みたいな。
そしてそんな大佐のお守りのためにがんばる二人。牽制まじりで(笑)。
ハボロイを前提にしてるあたり、驚きですね。中尉とは何もありませんよ。

二人がエドを仮想敵にして話す話もあったんだけど、だらだら続けない方がいいと「また、明日」で反省したので。
か、書きなれていないので、二人の口調がちょっと怪しくても目をつぶってくださいまし―…。




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