「眠いなら寝たまえ」
「えーもうちょっと読むー」
そう言う言葉もずいぶん不明瞭で、ロイは苦笑する。
「本当にもう子供は寝る時間だと思うのだがね」
「うーるーさーいー。今この眠いのを乗り越えたら、バッチリ目が覚めるんだからー」
その感覚はわかるが、と思いながら、ロイは首を回す。
「私に抱っこされて、寝室へ運ばれたくないなら、自分の足で行くことだな」
「―――。…たいさ冷たい」
「…?」
「オレはこうやって大佐にくっついているの好きなのに」
エドの言うことがさっぱりわからず、ロイはいぶかしげな表情になる。
ぱたんと本が机に置かれる音がして、背中にもたれた温かさが離れたかと思うとこんどはしっかりと後ろから腕を回してしがみつく。
「おいおい、どうしたんだ?」
「…一人で寝るのヤダ」
それが理由か、と笑い出したくなって…とても顔が熱いのに気がついた。
……静かに自分も本を置く。
言葉も作れずに、ただ高い体温を感じて。
「はがねの?」
あまりに続く沈黙に、首の痛くなるような姿勢で見下ろすと
(…眠っている)
その後、ベッドの中で一人悩む大佐。
(結局抱いて運んだらしい)
(ちょっと待て、一人で寝るのがイヤだって…)
(いったい旅の間はどうしてるんだ?)
(弟はでかすぎて一つのベッドは不可能だろう)
(それ以前にあの弟では逆に寒い)
(……まさか)
(まさか)
「……浮気してないだろうな、この豆は」
大佐の眠れない夜
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