荒んでます

2004/03/25

女と寝た夜は必ずあの夢を見る。
どういう連想なのかは容易に想像がつく。
抱いた柔らかい肉体に母と同じ感触を見いだし、そしてずぶずぶと突き立てたそこに、あの融け崩れた体を重ねる。
それは単純すぎるほど単純な記憶の直結だった。
あまりにもうなされるので、女に揺り起こされ、そのまま青い顔で手洗いに駆け込み、こみ上げた反吐をぶちまける。
そんな夜を相手を変えて性懲りもなく繰り返した後。
俺は数週間も前に終えていた任務の報告書を鞄に突っ込み。
セントラル行きの切符を買った。



「……またずいぶんと荒んだものだな」
「へェ?」
「目の下に隈だ。ちゃんと寝てるのか」
左眼の下を親指が撫でて行った。俺はそれを目だけで追いかける。
「君は弟がいないと、すぐこれだ」
面白そうにいう男の裸の背を求めた腕は、何も掴まない。
するりと立ち上がった男は、たった今俺が脱がせて放り投げた白いシャツを拾い上げている。
「たい……」
「タイム・オーバーだ、鋼の」
ばさっと音を立てて振るったシャツから埃が舞う。顔を背けてやり過ごし、全く君はろくでもない場所ばかりだ、と呟く。
確かに場所はちょっとアレだったな、と俺はバツの悪い気分で崩れかかった壁から光のさしこむ廃屋を見渡す。
「まず、私に会いに来てくれたのは嬉しいがね」
青い軍服を着込みながら男は言う。

「先に弟の方に会いい行くべきだったな」
「……アルに何か?」
はっと顔を上げる。急速に冷める気持ち。俺はいったいここで何をしてるんだ。
「そう、その顔だ」
やっぱりどこか面白そうに、この男は言う。実際、顔は笑っていやがる。ただし、それは嘲笑でも冷笑でもなく、ましてや俺の嫌いな人を食ったような笑みでもない。ただの笑顔。
きょとんとする俺に、まだわからないのかね、と問う。
あいにくと俺にとってあんたは謎、謎だらけ。理解なんて薄ら寒い単語はとうの昔に頭から消し去った。
「仕方ないこととはいえ、やはり君を一人で行かせるべきではなかった」
しっかりと軍服を着込み、一筋の乱れもない男は、その地位にふさわしくずいぶんと堂々と立っている。
「自分の弱さを指摘されるのは嫌いだろうがね、私は君が小さくても兄なんだって踏ん張っている方が好きみたいだよ」
「だ…誰が」
豆粒どチビだー!!と叫べば、あっはっはと笑って出て行こうとする。
「あ、たい……」
「そう、これはアレだな」
ふと大佐が足を止める。
「ひとつ貸しだよ、鋼の」


開いた扉を春風が吹きぬけた。


えーっとなんか大佐を廃屋へ拉致…って事に及ぼうとしたんだけど、ちょっと心に余裕がなかったせいでかわされてしまったぜ、ベイベー。
ということで。
エドがアルなしで旅に出た場合。
…を考えようと思ったんだけど、どうも、いきなり娼館にしけこんでるっぽ…!(汗)
うわわ、何なんだ、このエドは。




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