公園デート

2004/05/17

「…げ、また破れてるし」
ページをめくった少年は顔をしかめた。
ときおり吹き抜ける風はいくぶん肌寒いが、春のうららかな、と言うには強さを増した日差しが鉄の手足を暖める。要はいい天気、に分類される天気だった。
入手したばかりの文献を広げれば、気分も満点だったはずなのだが。
注意深くめくらなくてはすぐにぴっと破けてしまいそうな保存状態の悪さと、既に破けてしまっている部分の解読に、少年は頭を抱えていた。

と、座ったベンチに影が落ちる。
気づいて手が止まりかかるが、思い直したように「えーっとこれは…フントの根を指してるのか、ならこっちが合成過程か?いや…」と呟き出す。

「邪魔だったか?」
「んでコレをこっちにつなげて……いんや。あんたこそこんな所でサボってていいのかよ」
「何故私がサボっていると思うんだね。私はただ休憩しに来ただけだというのに」
「それをサボりって言うんじゃないのかよ。中尉にバレてもしらね―から」
「私と言葉を交わしている時点で同罪だよ、鋼の」
「――なんだよ、ソレ」
「共犯者という響きも悪くないと思うがね」
どこか甘い言葉だった。一瞬、そのまま二人でどこかへ行けたら、誰の手の届かない所まで行けたら、という考えが頭をかすめた。





「あーそれなんだけどさ。――俺、裏切り者でいいよ」
「は?」
「少尉ーここー!」
にわかに立ち上がって、少年は大きな声で手を振る。
何?と振り返った大佐は、こっちへものすごい勢いで芝生を突っ切ってくる大男の姿に逃げ腰になる。
「あーなんか忠犬が走ってきてるみてー」
それを呼び寄せた少年ののんびりとした感想をよそに「そ、それじゃあ鋼の、また後で…」と言いかけた所を、鋼の腕で腰を抱かれる。
「悪いけどさァ」



「共犯者はもういらねェよ」




背中合わせで顔を合わせない会話がしたかった。萌。
なんか、大佐ったらエドの腕にお尻を押しつけててすごくヤらしい!と思ったんだけど、機械鎧の右手に感覚はないよな…ちィ。
生身の腕のほうだったら、誘っているSSになったはずなのに、こんな純朴で申し訳ない(笑)。

エドはもう自分のしたことに誰かを巻き込むことはしたくないと思っていると良いと思う。
アルを巻き込んだことは、エドにとって大きな傷になってる。
体の関係を指して「共犯者」と言うこともできると思ったけれど、そのあたりはスルーな方向で(笑)。



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