書庫

2004/07/03

「んん……あれ、大佐?」
「結局ここで夜を明かしたらしいな。まったく風邪でも引いたらどうする」
気づけばタオルケットでしっかりくるまれていた。
「あ、ごめん。ていうか、暑くて目が覚めたんだけど」
思ったままを口にすれば、真剣に憤慨する男は面白いと思う。

そういや、大佐は体温低いもんな。
さっと目の前の男の顔が紅潮するのを、一瞬あっけに取られて見守った。過剰な反応に、逆にこっちの思考が停止する。
「こ…子供は体温が高いだろうがなッ」
いつもなら怒りたくなるであろう言葉にも、反応できない。
つーか、これ――。

(…マジでかわいくないか?)

日中は暑くても夜は意外と冷える。タオルケットを肩から落とすと、冷気が肌を刺す。
ふと思いついて伸ばした指先は拒まれなかった。
「――大佐の手、冷えてんのな」
いつから、ここにいた?と言外に問えば、ふいっと視線をそらす。
「暖めてやるよ」
一瞬呆れたような顔で見て、そんなセリフ、一体どこで覚えたんだ…とぼやく男の鼻先にちゅっと唇を鳴らす。

あんたで覚えたんだよ。
俺、あんたしか知らね―もん。


うわァ、恥ずかしい!甘すぎる日常!(日常なんだ…)
ついでに言うと、ここは図書館の第7書庫。エドが結構入り浸っているのを知っている大佐は探しにきました。


「だって外から鍵閉められちゃったし」
それはお前には理由にならないだろうが、とロイは軽く睨む。ドアを錬成し、何度となく彼の安眠を妨害した前科のある少年は悪びれずに笑った。




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